電話対応力
電話が途方もなく苦手です。電話をしないために、逃げ・叫び・欺き・驕り・・、とにかく何としても避けたいことなのです。
一方で、電話対応が上手だと言われます。
僕はこの電話に対する恐怖感と対応力の両方を大学生の時のコールセンターのアルバイトで身につけました。
電話を利用するアルバイトというのはとても大変だと考えています。仕事において、見ず知らずの人に暴言を吐かれることはまずありません。ましてやその理由が理不尽なことであったり、他人のミスであったり。そういうことは滅多にないのではないでしょうか。少なくとも僕は社会人になってから、上司や先輩はともかくとして、お客さんから暴言を吐かれたことは一度もありません(ちなみに先輩や上司にも、強い表現はあっても、露骨な暴言はありませんでした)
接客業でどの程度暴言を吐かれるのか、僕はあまりよくわかりません。かつてコンビニでもアルバイトしたことがありますが、コンビニでは少なくとも暴言を受けるようなことはありませんでした。アルバイト仲間もほんの少しだけでした。また、もし暴言を吐かれたとしても、個人は深く傷つきますが、バイト仲間で同情し、慰めることもできました。
言う方としても、直接的に言うので、相手の出方や表情を見ることができ、それが少しは救いになっているようにも感じています。しかし電話の場合、相手の表情が見えない中での言葉は、より強く、より深く心に突き刺さってきます。
かつての僕はバイトで、パソコンのサポート業務を電話で行っていました。基本的には相手からのお願いやトラブルを基に僕たちが案内をするような作業です。ここには怒る要素など無いように思えますが、ちゃんと人々は怒るのです。「ぜんぜん解決しない」「解決までに時間がかかる」「たらい回しを受ける」などなど。もちろんそれを伝え、表現するためには、非常に辛辣な言葉を使ってくるのです。
もちろん自分自身に対する指摘であれば、それは受け入れる必要があります。知識が無いことは自分の問題でもありますし、解決までに時間がかかったり手間をかけたのであれば、それは十分に反省しなければなりません。
しかしほとんどは、自分自身というよりも、仕組みや組織に向けられています。もちろん電話を待たせてるので、イライラしているってこともあるでしょうし。
そのときに、お客は「バカ」までの言葉とは言わなくても、それに近い言葉で罵倒してくることがあります。お客様に謝罪をしつつも、もう少し表現を弱くしてほしいなぁと、僕の心は悲鳴を上げています。今でも、電話が恐怖だと言えば大げさですが、電話には怖い気持ちが片隅にあります。
一方で、それらの言葉に無反応でいる術も身につきました。相手が怒っても手を出してくるわけじゃない。サポートをしている以上、相手が怒ってもこちらにはデメリットは生じないなど。自分の心に言い聞かせて、罵倒を無視するのです。
それができるようになってから、僕はサポートやクレーム対応が上手になりました。
また、元々の僕の声が、お客様にとっては落ち着いているように聞こえ、なかなか評判がよかったのです。当時僕は大学生でしたが、ベテランの方はやっぱり安心できる。とお客様に評価されたこともあります。
しかしその時のクレーム対応の経験から、今では(未だに?)お客様にたいして強く出るところと、頭を下げて引くところのバランスがうまいようです。
電話に対する恐怖感というのは、結局トラウマなのか性格なのかわかりません。しかし電話のテクニックは少なくとも社会では生きているような気がします。丁寧な対応だったら悪い気しないですよね!