彼の油断。

つきあい始めたころの彼と、今の彼。いろいろなところが変わった。もちろんよくなったこともあるし、相対的に悪くなったこともある。そして悪くなった部分を彼に対して「油断してる」と表現しているのである。
かつても書いたが、彼はつきあいはじめたころよりも、変わった部分が多数ある。たとえばそれは料理だったりヒゲだったり、掃除だったり。本当によくなったので僕はつきあったときも当然だし、今ももちろんつきあい始めの頃と同じように強く感謝をしている。
一方で悪くなったと感じるところもある。そのうちの一つに、気遣いがある。
もちろんもう長いので、気遣いの程度というのが変化したのだと思う。昔は探り探りだったので、必要以上に我慢しただろうし、それが本来の欲求を抑圧していた可能性もある。しかしその状態を僕の一方てきな表現で言わせてもらうのであれば、心地よかった。
食事や行く場所について、いちいち希望を言わないのは、それをもどかしく感じる人もいるかもしれないが、僕はそれでもかまわない。悪い意味でも自分が楽しみたい。
今は彼も少しだけ主張するようになった。もちろん別に気にならないけど、前にも書いたとおり、彼は折衷案の方向性が変なので、戸惑うこともある。
食事もそう。好みの合わない僕と彼。これの折衷案も微妙なところである。
作る料理も微妙に方向性が変わった。最初の頃はまったく作らなくて、それが作るようになった。作り始めた頃は、ほとんどがレシピ通りであった。彼はレシピに非常に忠実に作っていたので、「何を作るか」を間違えなければほとんどの料理がおいしかった。そしてそれに僕は大満足なのであった。
最近、手抜きの料理が増えてきたように思う。別に相変わらずおいしいけど、ローテーションの感じが出てきたというか。それに作って欲しいと思う料理を作ってくれないことも多くなってきた。僕はポテト料理がめちゃくちゃ好きなのである。しかし最近はあんまり作ってくれない。
と、不満点をあまり言うと、人のことを言えない自分に気づかされるのである。食事。僕は片付けをしない。食べ終わった食器をキッチンに持って行くことさえもマレである。彼は健気だ。
掃除。掃除を僕は全くしない。まあそうはいっても、別に同棲している訳じゃないから、それはなんとも言えないけど、それでも利用頻度が高いわけだからちょっと罪悪感。
洗濯。彼にお願いしている。脱いだら脱ぎっぱなしなので、それも申し訳ない。
料理もそう。ほんとは手伝いたいんだけど、結局彼にすべてお任せ。昔はキッチンを使うことも多かったのに、今はラップの位置も、包丁やまな板の位置もいまいちよくわからない。