仕事。稼ぐということ。
稼ぐ事が善なのかは分からない。しかし稼がないことが悪なのは知っている。オレは自分がゲイだと自覚するよりも先に、お金に関する自分なりの基準というのは早くに確立していた。
そのためオレは何を優先させるのか考えた時に、稼ぐ事を第一に考えて何よりも優先している。(たとえ恋人の存在とを天秤にかけたとしてもだ)
どんな仕事につくか、というのは非常に難しい事だと思う。普段からゲイとして抑圧された事を非常に意識している人であれば、おそらく社会で普通の仕事に就くことは難しいと思う。マイノリティのコミュニティずばりにサービスを提供するような仕事に就く方が幸せだろう。例えばそれは飲み屋の店員(店子)だったり、ゲイ向けのグッズショップの店員なども良いと思う。DVD等のアダルト関連というのもありだと思う。
俺自身はそういう職に就こうと考えたことは一度もない。むしろそういう仕事は一般社会から離れていくような気がして怖い気持ちさえある。
一部の出会った人たちは、少数(マイノリティ)として抑圧された毎日を過ごすことによって、精神的に非常にもろくなっている人がいた。そしてその場合、仕事が続かなかったり、無気力であったりという、少数者としての抑圧が引き金となって、社会にも足がかりが無くなってしまうのである。
何かの調査で、ゲイは平均収入が若干高いという話を聞いたことがある。自分の身は自分で守る必要があるからだそうだ。
その考察には正直な所、オレにはしっくり来ない部分が多い。だって身を守ることが収入につながるのか。もしくはお金を稼ぐような職業や地位になると、後天的にゲイになるとか??
オレが自分の性的な好み(セクシャリティ)で悩んでいないのは、しっかりとした居場所を社会で確保しているからなのかもしれない。
オレが一番怖いのは性的なことがみんなに気づかれるよりも、収入が無くなることである。ゲイバレなんてたいしたことではない。ホームレスになることがもっとも恐怖である。そのためにはたとえ彼と一緒に過ごす時間を削ることになってもそれは仕方が無いと考えている。
※という話を彼にすると、彼はあたりまえのように「一緒に過ごす時間減らしてまで働いてどうすんの!」と非常に単純だけど本質的なことで一蹴されてしまいます。いいの。たとえ会う時間を削ってでもオレはおまえに金銭的な苦労をさせたくないの!
清貧という言葉がある。しかし貧乏は清い心までむしばんでいく。誰しもが一歩違えれば手の届く範囲にあるそれから、なるべく距離を遠ざけたいとオレは考えている。